2011年2月26日土曜日

ヘレス・フェスティバル1アントニオ・エル・ピパ


今年で15周年のヘレス・フェスティバルの初日は
ご当地出身、アントニオ・エル・ピパ。
一時は毎年のように出演していたが最近は2年に1度くらいか。
それでもこのフェスティバルの最多出場者の一人にちがいない。

今回はフアナ・アマジャをゲストに迎えて
新作「ダンサカリ。ダンサール・デ・ロス・ヒターノス」を上演。

アントニオ・ガデス「血の婚礼」での、乗馬のパソで
馬に乗ってやってくる流浪の民をイメージしたオープニングから
森での野営、
若い二人(アントニオとフアナではなく舞踊団の若手)の結婚式という
ロマン主義的ジプシーのイメージでの舞台を
自らもジプシーであるアントニオがつくったというのは興味深い。
社会学的検証ができそうだ。

森や青空、また抽象的な模様がバックにうつしだされる。
ギターやバイオリンなどのミュージシャンたちを奥にかくし
踊るスペースを大きくとった舞台構成。
ロマン主義的な衣装にアラブ風味を加えた衣装。
あるときはマノロ・サンルーカル風、
あるときはセラットのサエタ風、
またあるときはトルタの「コロール・モレーノ」風といった音楽はフアン・ホセ・アルバ。

フアナとのパレハで踊るロンデーニャ「出会い」、
若い二人のアレグリアスやファルーカ、
フアナの娘ナサレ・レジェスのタラント(母そっくり)、
フアナのシギリージャ、
アントニオのバンベーラ/ソレア/ブレリア、
アントニオと舞踊団でのカスタネットをつかったビジャンシーコ
と盛りだくさんな内容なのだが肝心の舞踊がものたりない。

アントニオは立ち姿とマルカへに定評があったと思うのだが
今回はなぜかすこし猫背気味で長身をいかしきれていない。
ブレリアでみせるマルカへはさすが、というところだが
あれはフィエスタの踊りであって舞台での舞踊とはべつものだ。
お決まりの、叔母フアナ・デ・ラ・ピパの肩をだいてのひっこみとか
彼のファンにはいいのだろうが、正直、また同じか、という感想を否めない。
フアナはなぜか照明があたらず(踊る場所の問題?)
また伴唱のキニが白いシャツで前にでてくることもあって主役がどちらかわからない。

というわけで、うーん、私的にはなんだかなあ、な公演であったのでありました。

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